大学受験理科

大学受験の中の理科科目は、どれだけ短時間で、どれだけ安定して点数をたたきだせるかが勝負です。英語、数学ほど学習内容は多くはないので、比較すると時間は必要しませんが、英語または数学と同じ配点であることが多いので、コストパフォーマンスは高いといえるでしょう。

科目選択

理科は、一科目選択または二科目選択が主です。一科目選択の場合、化学が4割5分、物理が3割5分、生物が2割ぐらいの割合です。
二科目受験の場合は物理化学、または化学生物が大半です。
もちろん、薬学系は生物が多く、物理系は物理が多いです。受験科目に指定がない場合は、自分に合った選択でよいでしょう。以下、各科目の特徴を説明していきます。
物理は理論寄り、生物は暗記寄り、化学はその間に位置していると考えて下さい。
物理は、勉強時間は少ないですが計算問題があるので得点にばらつきがあります。しかし、高得点や満点を狙える科目です。生物は時間がかかります。範囲が広いうえに暗記が主だからです。よって、点数はコンスタントに取れますが、高得点を目指すとさらに労力がかかります。化学は最もポピュラーで参考書も豊富ですし学習者も多いので、教えあうなどコミュニティが作りやすいでしょう。時間は物理と生物の間です。生物以上に安定して得点を取ることが出来ますが、高得点を狙うにはかなりの労力を要します。

物理

物理は大きく分けて力学、電磁気、波動、熱力学の4つに分けられます。原子も出題範囲に入っていますが、各問題集の後ろに載っている問題を解く程度で十分でしょう。花形は力学、電磁気です。この二本柱は必ず出ます。特に力学は、量も多く応用問題も多く出題され、かつ他分野も力学の知識を必要をとする時があるので必須です。ここを苦手としてしまうと、物理では闘えなくなってしまうので、必ず得意分野にする意識で取り組んでください。しかし心配はしないで下さい。実際に存在する現象なので、実感的に掴みやすいと思います。あとは、イメージと異なる運動を理解してしまえば、同じルール上で生じることを学ぶ科目ですので、抵抗さえなければ気がついたらマスターしていたなんてこともあるでしょう。
 ではお勧めの参考書を紹介します。
基礎固め用参考書

これらは河合塾物理科講師の浜島先生が執筆されたものです。物理初習者でも、無理なく物理の基本が理解できるようになっています。受験物理を感覚で捕らえつつ理論的に誤りなく解説されている著者の熱意こもる名著です。掲載されている問題も基本的ではありますが、本当に理解して解ければ理論上すべての物理問題が解ける良問ばかりを集めてあります。解答は別冊になっていてとても丁寧につくられています。 まずはこの一冊を完成させましょう。

エッセンスがどうしても合わない、理解できない、物理が苦手すぎるという方はこちらでも良いでしょう。こちらの本は、エッセンスより感覚的に理解できるよう配慮されています。問題数も少なく基本的な物理の解説なので、短時間でこなせるでしょう。この本が難しく感じるようでしたら忍耐不足です。理解できるまで何度も読み直して下さい。
標準問題集

上記の物理のエッセンスの続編の問題集です。エッセンスで学んだ学生は解法も統一されているので、スムーズに問題演習を行えるでしょう。もちろんエッセンスをやっていない方も基礎的な知識があれば取り組めます。問題は各大学の問題の良い問題を混ぜ合わせた構成でまさに良問集と呼ぶにふさわしいでしょう。量も受験物理に必要な知識が過不足なく詰め込まれているので非常に費用対効果の高い参考書です。

物理問題集の中で歴史ある名著です。問題は毎年改変され、解答もより分かりやすくなってます。該当レベルは易しめの標準問題からやや応用的な問題までと幅広くカバーしています。問題の順番も簡単なものから序々に応用問題になっていくので、自然と複雑な問題も解けるようになっていくでしょう。
応用問題集

上記の物理のエッセンスシリーズの最上級問題集です。良問の風では物足りなくなった学生、物理満点を目指したい学生はこちらまで手を伸ばしてみて下さい。物理を解く面白さを教えてくれます。この本に出会って物理科を志望した学生もいます。 内容はハードですが奇抜な問題はなく、思考力を問う問題ばかりです。他科目との時間の兼ね合いで、時間がありそうな方は是非取り組んでみて下さい。問題数が少し多いので全てを解こうとはせず、気になった問題、ランダムに選んだ問題を解いてみるだけで十分でしょう。

受験物理界最上級に難しい問題集です。難問を集め系統づけ、難問用に頭を切り替えていく。紙面構成もあっさりしていて可愛い絵もなし。ただ無機的に難問題を解かせていくだけの鬼のような参考書。正直つらいです。ただし、この本を看破した方に受験物理で敵はいません。本来、東大理3志望者が愛用していた参考書。問題数も多く一問一問も重いので莫大な時間を要します。挑戦する際は、他科目に影響が出ないよう注意してください。

化学

化学は、大きく分けて理論、無機、有機に分けられます。理論は理解、無機は暗記、有機はその間に位置づけられます。
学習の流れとしては理論⇒有機の順に学習し、間で細かい時間を作りこまめに無機を覚えていきましょう。化学を受験科目として使う受験生に必ず手元において欲しい一冊があります。

この本には受験化学に必要な知識がすべて網羅されています。理解できない時、腑に落ちない時、解説が不足している時、この本を手にとればほとんどの問題は解消できるでしょう。しかし、注意していただきたいのはこの本は問題集ではなく参考書であるという点です。 とても便利な本ですが、使用法を誤れば時間の浪費につながります。疑問が出た時に辞書として使用してください。空き時間で読むならまだしも、勉強時間を利用してこの本を全て読破しようとは考えないでください。時間費用に対する効果が低すぎます。あくまで参考書として正しい使い方をしてください。
次に問題集を紹介していきます。基礎から学びたい方は以下の順に学習していくとよいでしょう。

これらは初習者用の参考書で、知識ゼロからでも基本が理解でき問題を解く地盤を作ることができます。解説は平易に行われているので、ある程度知識がある人には物足りないでしょうが、自分が勘違いしていた所や不足していた知識の確認ができるので、模試やテストなどである程度の点数がでていない方はこのレベルから取り組むことを勧めます。ただしこの本に時間をかけすぎないで下さい。一週したら不安なところにマークをしておいて、そこを復習する程度でよいでしょう。以下にあげる問題集こそ本丸なので、目標達成のための武器集めだと考え下さい。問題を解いていく上で忘れたところがあれば、その都度戻ればよいのです。暗記というよりは化学に対する概要と理解に集中してください。
上記三冊をこなしたら以下の問題集に取り組ん下さい。この問題集こそ受験化学の真打です。

この問題集は受験化学の参考書の中でも歴史ある良書です。毎年問題が入れ替わり、わかりづらい解説は丁寧に内容が改変されています。問題は、分野別に簡単な問題から徐々にレベルが上がっていく問題配置で、無理なく標準問題が解けるようになります。この本のB問題まで完璧にできれば、この科目で全く手がでない問題は必ずなくなります。問題は多めですが、時間がかかりすぎてしまう量ではありません。また、完全に解ける問題はマークをつけておいて、二週目以降の時間短縮に繋げましょう。分野別(理論、無機、有機)であればどこから取り組んでもかまいませんが、上記の順に学習しておくほうが無難でしょう。解説は、丁寧過ぎるほどですが、必ず一字一句読み込んでください。この解答書は宝の山です。隅から隅まで意識を張り巡らせて下さい。もちろん答えが合っていた問題も、同様に読み込みましょう。
この本をこなせば十分に入試で戦えますが、満点を狙いにいく学生は時間の許す限り以下の本に挑戦してみて下さい。

ただしこの本は他の科目もある程度完成していて、かつ化学を勝負科目にしたい学生のみが手をつけて下さい。利用方法としては頭から全て解いていくのではなく、気になる分野からランダムに選んで解いてみる程度でいいでしょう。思考力を問う問題が多いので、身に付けた知識の応用的な使い方、現象としての化学の意味がわかるでしょう。ただし、問題数が多く、標準レベルを明らかに超えている問題も多いので、一般の学生は難関大学志望者であっても重要問題集だけで十分です。

     

生物

生物はひたすら繰り返しです。とどのつまり知識量が合否を左右します。まずは最重要の知識を狭く深く身につけ核をつくります。その後、広く浅く知識の幅を広げていきましょう。
基礎問題集

受験生物に必要な最低限の知識が単元毎に網羅されています。まずはこの本を完成させることから始めましょう。
標準問題集

重要な遺伝分野にはこの本を使用してください。説明、構成、問題、全て高品質です。

理系科目に定評のある駿台予備校から出版されています。解説は、生物を専門にした人が執筆しているので正しく理解できます。

こちらは河合塾から出されている標準問題集です。クセのないつくりで、一般的な生物問題集の平均値のような問題集です。どれにするか迷ったらまずはこちらに取り組むとよいでしょう。

 

完成

ひたすら過去問。傾向を把握しましょう。知識のメンテナンスも忘れずに。

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